1999年02月21日

未来は背後に隠れている。しかし過去は目の前に広がる。

〜ネイティヴ・アメリカンの言葉より〜

 はっぴいえんどの連中と会い、健忘症が治った。変化を求めて来た人生だが、思い出してみれば何も変わっていないような気もする。それにしても彼らの天分にはあらためて驚きを感じた。1969年当時は、様々な才能に偶然出会って始めたように思っていたが、どうも偶然ではないみたいだ。天分とは天から分け与えられた力なんだからね。風待ちろまんも、ナイアガラ・ムーンもバンド・ワゴンも、なんて素晴らしいんだろう。あらためてぼくは敬意を表する。

 The Quatationsのライヴに出た。友情出演というやつだ。「札幌というノーザン・デルタ地方のロック」、のように言えるバンドは日本で他にはいないな。「メンフィスのビートはfat backといって、きもち後ろにズレるんだ‥」なんていうのが粋なんだけど。

 デンゼル・ワシントン主演の去年の映画、「悪魔を憐れむ歌」をヴィデオで見た。悪魔のポゼッションという陳腐なストーリーは、かつてのボディー・スナッチャー系のSFがやり尽くしたものだ。でも「接触」で人から人へ乗り移ってゆく様はなかなかのものだった。悪魔の口ずさむ音楽が、ストーンズの「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」なのは笑える。時を同じくしてテレビでは五色のiMacのBGMにやはりストーンズの「レインボウ」が使われていた。悪魔か‥。メディスンマンのローリング・サンダー曰く、「悪(evel)は象徴ではなく、実在する。」‥冥王星の動きも最近怪しいし‥。

 同じくヴィデオ・シリーズの「ミレニアム」は、サード・シーズンが七月に出るそうだ。遅い!出演者がほとんど中年男ばかりなのに、アメリカでの放送は人気が上々らしい。ベビー・ブーマーの活性化は音楽の世界だけではないようだ。

 前回のジョニー・マーサーの話しに出した、"Hit The Road To Dreamland"という歌の後日談をひとつ‥。

 時々ひとつの曲に恋をすることがあるけど、今はこの歌に魂を奪われている。そんな音楽は今までに10曲あるかないかだ。でも取り憑かれるほどの魔力が音楽にはあるんだろう。そういう音楽との恋愛は無上の歓びだ。そんな時はいろいろコインシデンタルな事が良く起るもので、先日は夜中のカフェで例の歌が流れたんだ。初めて聞く女性ジャズ・ヴォーカル版だった。そんなことは大したことじゃないって?いえいえ、大騒ぎだったな。かのブライアン・ウィルソンだって、カー・ラジオからロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」が流れた時、車を止めて大声で「なんだこりゃあ!」と叫んだそうじゃないか。いくつになっても音楽の力の前には胸騒ぎがするぞ。で、その時歌ったシンガーが解らなかったので、一緒にいたミハル・コシ嬢が店の人に聞いてくれたんだ。ゆくゆくはスィング・スロウでカヴァーしようという大事な歌なんだから。でも有線放送だったし、電話までしてくれても継ながらない。翌日あちこちの店でジャズ・ヴォーカルのCDを探したが、記憶と知識を全開しても該当するものが見つけられず、ヘトヘトだ。これで諦めてはいけない。有線に電話したらわかったんだ。これもミハル嬢にやってもらったんだが‥。その歌手の名を聞いてびっくりしたのはぼくだけだな。年寄りだから。Connie Stevensなんだ。「信じられない!」と大声を出したね。だって彼女はハワイアン・アイのような60'sのTVシリーズに出ていた、アイドル系ポップ・スターだよ。なーんだ、という気持ちになったのは、それなら簡単に手に入りそうだったからさ。しかし事はそうイージーではなかった。東京中の約4件のショップでは見つからなかったんだ。これは天の神様に遊ばれてるんだ、とわかったね。だからいまだに手にいれてない。有線のDJの人はこのサイト見てないよね?君はマニアだ。

 J-Waveの番組では時々「パンパカパーン、今週のハイライト!」という、トリオ・ザ・パンチ風ジングルで始まるコーナーをやっているけど、そのうちここで今までにそろった上記の歌を取り上げるつもりだ。最近は対談が続いたのでやってないが、今まではクロード・ソーンヒル楽団の「スノウ・フォール」と、レイモンド・スコット・クインテットの「ペンギン」を流したことがある。どれも二つとない、すぐれた音楽だ。

 おいしいハンバーグが食べたい。

 次は何について書こうかな。「悪魔くん」にしようかな。じゃあ近い内に、股ね!

1999.2.21 Haruomi Hosono
posted by admin at 00:10 | quiet voice ~2005